生活習慣病

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症、または一般的に高脂血症として知られている疾患は、血液中の脂質(脂肪物質)の異常な増加を特徴とする内分泌および代謝系の疾患です。高脂血症は、主に次の二つの主要な脂質成分の異常に関連しています。

甲状腺機能低下症があるとコレステロールが上昇するため、当院では最初に甲状腺ホルモンを確認し異常がある場合、先にそちらの治療を行います。

  1. LDLコレステロールの増加: 低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールは、悪玉コレステロールとして知られています。高レベルのLDLコレステロールは、動脈硬化(血管の壁にコレステロールがたまり、血管が詰まる状態)のリスクを高めます。

  2. トリグリセリドの増加: トリグリセリドは、体内のエネルギー源として保存される脂肪です。高レベルのトリグリセリドは、心血管疾患のリスクを増加させることがあります。

高尿酸血症/痛風

高尿酸血症は、血液中の尿酸濃度が異常に高い状態を指します。尿酸は体内でプリンと呼ばれる化合物が代謝される過程で生成され、通常は尿として排泄されます。高尿酸血症は、以下のいくつかの要因によって引き起こされる可能性があります:

  1. 遺伝的要因: 一部の方は、遺伝的な傾向により、尿酸の代謝が効率的でないため、高尿酸血症のリスクが高くなります。家族歴に高尿酸血症や痛風(高尿酸血症による疾患)がある場合、遺伝的要因が関与している可能性が高いです。

  2. 食事: 高プリン食品(特に赤身の肉や魚、内臓器官、ビールなど)の摂取は、尿酸濃度を増加させる可能性があります。フルクトース(果糖)の多い飲料や食品も高尿酸血症の原因となることがあります。

  3. 肥満: 肥満の方は、脂肪組織が尿酸の代謝に影響を与えるため、高尿酸血症のリスクが高まります。

  4. アルコール摂取: アルコールの過剰な摂取は、尿酸の代謝を阻害し、高尿酸血症を引き起こす可能性があります。

  5. 薬物: 一部の薬物(例:利尿剤、アスピリン、抗がん剤など)は尿酸濃度を増加させることがあります。

高尿酸血症は通常、痛風という疾患と関連しています。痛風は、高尿酸血症によって関節に尿酸結晶が蓄積し、急性な関節炎発作や慢性の関節痛を引き起こす疾患です。

高尿酸血症の症状は、通常は高尿酸血症自体では現れませんが、痛風の症状が出る可能性があります。痛風の典型的な症状は急激な関節の炎症、疼痛、腫れ、赤みです。痛風発作は通常、関節の先端、特に足の親指の関節で発生することが多いです。

高尿酸血症の管理には、食事療法の改善、体重管理、アルコールの制限、および必要に応じて尿酸降下薬の使用が含まれます。高尿酸血症や痛風の治療に関しては、医師の指導を受けることが重要です。

肥満症/メタボリックシンドローム

肥満症(Obesity)は、体内の脂肪組織が異常に蓄積し、体重が正常範囲を大幅に超える状態を指します。体重を測るために一般的に使用される指標はBMI(Body Mass Index)であり、BMIが30以上である場合、個体は肥満とされます。

肥満は多くの健康問題と関連しており、以下のようなリスクや症状が関連しています:

  1. 心血管疾患: 肥満は高血圧、高コレステロール、動脈硬化などのリスク因子と結びついており、心臓病や脳卒中の発症リスクを増加させます。

  2. 糖尿病: 肥満は2型糖尿病の発症リスクを高めることがあります。脂肪組織に蓄積した脂肪がインスリン抵抗性を引き起こす可能性があります。

  3. 関節痛: 体重の増加は関節への負担を増加させ、関節炎や関節痛の症状を悪化させることがあります。

  4. 呼吸器疾患: 肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高め、肺機能を制限する可能性があります。

  5. がん: 一部のがん、特に乳がん、結腸がん、子宮がんなどとの関連が示唆されています。

  6. 精神的健康の問題: 肥満はうつ病や不安症状の発症リスクを高めることがあります。また、社会的な差別や偏見にさらされることもあります。

  7. 不妊: 肥満は女性の不妊のリスクを増加させる可能性があります。

肥満の原因は複雑で多岐にわたり、遺伝的要因、食事、運動不足、環境要因、生活習慣、ストレスなどが影響を与えることがあります。肥満の管理には、健康的な食事療法、運動、行動療法、薬物療法、外科的介入などが含まれます。治療計画は個々の状況に合わせてカスタマイズされるべきで、医師や栄養士の指導を受けることが重要です。肥満の管理は健康状態の改善や合併症の予防に寄与し、健康的なライフスタイルの採用が大切です。

高血圧

高血圧(Hypertension)は、血液が血管壁に対して通常よりも高い圧力で流れる状態を指します。高血圧は一般的に「沈黙の殺人」と呼ばれ、症状がほとんどないため、気付かずに長期間にわたって存在することがあります。長期間にわたり高血圧が未治療であると、心臓、脳、腎臓、目などの重要な臓器に損傷を引き起こす可能性が高まります。以下は高血圧の主な特徴と影響についての情報です:

  1. 血圧の分類: 高血圧は、通常、収縮期血圧(最高圧)と拡張期血圧(最低圧)の2つの数字で示されます。一般的な血圧の分類は以下の通りです。

    • 正常血圧: 収縮期血圧が120未満、拡張期血圧が80未満
    • 前高血圧: 収縮期血圧が120-129、拡張期血圧が80未満
    • 高血圧(1度): 収縮期血圧が130-139、または拡張期血圧が80-89
    • 高血圧(2度): 収縮期血圧が140以上、または拡張期血圧が90以上
    • 重度の高血圧: 収縮期血圧が160以上、または拡張期血圧が100以上

  2. リスク因子: 高血圧の主要なリスク因子には、遺伝的要因、高塩分摂取、肥満、喫煙、運動不足、ストレス、高アルコール摂取などが含まれます。

  3. 合併症: 高血圧は心血管疾患(心臓病や脳卒中)、腎臓疾患、網膜症状(視覚障害)、動脈硬化、心不全などの合併症のリスクを増加させます。

  4. 症状: 高血圧は通常、症状がないか、非常に軽度な症状しか現れません。高血圧に関連する症状としては、頭痛、息切れ、動悸、視覚障害、脚の浮腫などがある場合もありますが、これらは高血圧に限らず、他の疾患とも関連していることが多いです。

  5. 管理と治療: 高血圧の管理には、生活様式の改善(健康的な食事、適度な運動、ストレス管理、禁煙、アルコール制限など)が含まれます。必要に応じて、医師から処方される降圧薬も使用されます。治療計画は患者の個別の状態に合わせて調整されるべきです。

高血圧は慢性疾患であり、長期的な管理が必要です。定期的な医師の診察と血圧モニタリングが重要で、高血圧の早期発見と適切な治療によって合併症のリスクを軽減できます。

生活習慣病に
関係の深い病気

脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、がん、CKD(慢性腎臓病)、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脂肪肝/NAFLD/NASH、アルコール肝疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がん、大腸がん、骨粗鬆症、ロコモティブシンドローム/サルコペニア/フレイル、歯周病